お花見
毎年恒例のようにしているお花見散歩をしなかったのはこのところの日曜日が雨降りだったからばかりではなく、最近読んだ水上勉の『櫻守』のせいもあるかもしれません。
主人公の庭師は桜を愛し、守り育てることに情熱を傾けるのですが、それを導くのは日本で一、二といわれる在野の桜研究家です。その人はソメイヨシノについて「これは日本の桜でも、いちばん堕落した品種で、こんな花は、昔の人はみなかった」「本当の日本の桜というものは、花だけのものではなくて、朱のさした淡(うす)(うす)緑の葉と共に咲く山桜、里桜が最高だった。」と言います。よい桜を求めて日本各地へでかけ接穂をもらい、自分の桜山で接木をして育てている人です。ソメイヨシノは育ちも早く、植え付けも簡単、値段も安く、病虫害にも強く、普及したのだが、「あれは、花ばっかりで気品に欠けますわ。」
もちろんお花見はソメイヨシノに限ったことではありませんが、よく行っていた場所はソメイヨシノが主だったので、あえて今年はでかけなかったというわけです。桜は種類も多く、時期にも幅があるのでこれからもゆっくり探して楽しみたいと思います。
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