金木犀

どこからともなく漂ってくる香り――ああ、金木犀だ、と思うと10月が間近になっている、毎年そういう経験をしています。なんと正確なのだろうと驚かされます。今年もやっぱりそうでした。

自宅近くにとても大きな金木犀の木のあるお宅があります。金木犀ばかりでなく梅も花水木も伸び伸びしています(要するに植木の手入れを一切していらっしゃらないということなのですが)。道路にもはみ出していて、その下で雨宿りができそう――。とまあ、それはいいのですが、その木全体に写真のように花がつきました。甘い香りが降ってきます。二三日すると木の下にはオレンジ色の円が描かれています。散った花の一つ一つは黄金色の砂粒のようです。

でも、一週間たった今はすっかり散ってしまいました。10月を告げるためだけにやって来て早々に去って行ったということでしょうか。

手文庫 tebunko

抜け道のような路地の傍らの小さな店です。 日本文学・外国文学の文庫が中心の古書店です。手づくりの雑貨も置いています。 ――合わせて“手文庫” 文芸書、趣味の本、絵本も取り扱っています。ポストカードもあります。 本の手触りをいとおしみ、手から手へ。

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